
ヤマハが1979年に輩出した、リニアトランスファ回路やオールFET回路構成を採用したステレオパワーアンプの完全メンテナンスを施した良品です。
B-5自体について少々記しておきますと、先述のリニアトランスファ回路によってあらゆるパワーレンジでのノイズと歪がクリアされており、かつ各パーツが厳選されることにより音の極微から磨き上げられた記念碑的なモデルとしてオーディオファンには知られた存在で、大容量コンデンサを備えての大きなスピーカーでも楽々駆動できるパワーを持ちながら、荒々しさを抑えての繊細さを醸す品位のある音を求めたヤマハらしい質を備えたモデルでもあるといえます。
個人的(管理人)な感想を述べてみますと、デジタル技術が日進月歩の現在においても、ダイナミックレンジ、また空間表現においても、その分解能の高さから低域駆動においても十二分な臨場感が楽しめはするのですが、これはスピーカーの選び方、または設置空間におけるセッティングの妙も必要なのかもしれませんが、スピーカーで聞くよりヘッドフォンで聴いたほうが意外に各音域がくっきりとしながらも艶やかな纏まり感のある音が楽しめるものとなっており、果たして再び意外や意外に、ハイパワーアンプという呼称に似つかわしくないシンプルかつ小ぶりな外観にふと、高価なコンパクトヘッドフォンアンプが多数輩出されるこの時代を不思議に先取りしていたのではないかと、感慨にふけさせもするものとなっています。
さて、この品のメンテナンスの内容としては、電源部大容量コンデンサを除く全ての電解コンデンサ、およびカーボン抵抗を全て交換、ついで足の黒くなったトランジスタやダイオードは新品に交換したうえで、各部のシリコングリスの塗り替え、そして、これが何より声を出して「ご苦労様」と言いたくなるのがハンダ盛りを全箇所、実施していることです。届いてすぐに楽しめるように、DCバランス、アイドリングの調整の済まされています。