
テクニクスの1979年頃発表のステレオ5バンドのアナログPEQです。
当時は業務用でも3バンドで主流のところを5バンド、何より正しい音環境の補正が難しいことからメーカーも一般家庭用を売り出したところは非常に少なかったところに登場したこの品、性能的はもちろん、操作しやすいインターフェースデザインとされ、調整しやすいものとなっており、はっきり言ってしまえばPCソフトが多種ある現代で手動で調整するのは極めてアナログなのですが、中心周波数、共振峰の調整が可能、微妙なf特のコントロールが可能で、各帯域の中心周波数と基準中心周波数から±1.6オクターブの範囲内で連続的に変化させられ、バンドウィズスコントロールにおいてもピークやディップの鋭さを自由に変化でき、1/4オクターブ幅以下の微妙な補正も可能、自ら音を操る楽しみに溢れたものとなっています。
基本的なところでは、各帯域のレベルを中心周波数の位置で±12dBの範囲で変化、全てのスライド式ボリュームを中点に設定すると、10Hz~20kHzにわたって+0 -0.2dBの特性となっており、その時点でのウネリは殆どないものとなっています。もちろんホワイトノイズなどは皆無です。
ともかくにも1970年代後半に輩出された品ですので、メンテナンスとしては、電解コンデンサ全て交換、抵抗は必要な物だけ交換、アナログIC12個交換、足の黒くなったトランジスタ、ダイオード交換、リードリレー交換、そのうえでハンダ盛りも全ヶ所実施という労作となっています。
当然のことながら、電源電圧、DCバランス調整、そして安全のため、電源ケーブルおよびプラグは交換されています。
[仕様概要](発表時)
出力電圧/インピーダンス(1kHz)定格:1V/300Ω
最大:5V/300Ω
全高調波歪率(定格出力時):0.02%
入力感度/インピーダンス(1kHz):1V/47kΩ
周波数特性:10Hz~20kHz=+0 -0.2dB、10Hz~70kHz=+0 -3.0dB
利得:0±1dB
SN比(IHF-A、S=1V):90dB
バンドレベルコントロール(5素子×2):±12
中心周波数コントロール(基準周波数に対し):±1.6oct(5素子×2)
バンドウィズスコントロール:Q=0.7~7(5素子×2)
中心周波数(基準):60Hz、240Hz、1kHz、4kHz、16kHz
消費電力:6W
本体サイズ:幅450×高さ92×奥行364mm
重量:5.8kg