
高精度な水晶振動子の発振を基準にした位相制御を採用してのモーターとターンテーブルを一体化したダイレクト・ドライブ・タイプのフルオート・レコードプレイヤー、テクニクス SL-1301の中古美品です。
制御技術が進化して今でこそ廉価にもなっているダイレクトドライブタイプは、CDプレーヤーにおいてはそう珍しいものではありませんが、1977年のレコード隆盛時代のプレーヤーにおいてダイレクト・ドライブ・タイプはオーディオ好きには非常に興味をそそるもので、果たして口うるさい方においては電流のブレがそのままターンターブルに伝わってリニアなレコードの再生が難しいのではないかとの懐疑も当時はもたれている方もちらほらいて、あくまでベルト・ドライブ、そしてターンテーブルは富士山もかくやと思われるほどの稜線を描いての重量タイプを備えたプレーヤーの肩をもって憚らない方もいらっしゃったものでしたが…
しかし、旧松下傘下のテクニクスの技術者の求道は真摯なもので、駆動には3相全波両方向駆動を採用したDCモーターを搭載、回転数検出に外部誘導の影響をキャンセルするプッシュプル方式の全周検出FGを採用することで回転軸の全周で検出するとともに精度の高い比較信号をも検出させており、作動面ではターンテーブルを素早く止める電子式ブレーキ機構を搭載、モーターの共振を防ぐためにもアームとターンテーブル、モーター部は、キャビネットから適切な粘弾性材と金属スプリングによるインシュレーターで適切にフローティングさせてのメインベースに搭載、加えてキャビネットも防振特性に優れたインシュレーターで支持したダブルインシュレーターを採用、スピーカーの直接音圧や外部振動に優れた遮断および吸収特性を発揮しているものでした。また、トーンアームの軸受には精密ピボットベアリングを使ったジンバルサスペンション方式を採用、これにより水平および垂直量軸を一点で交差させて、水平および垂直ともに初動感度7mgという高感度を具現、そして、低機械インピーダンス設計により平坦な周波数特性を得たMM型カートリッジを搭載するという、テクニクスの持てるだけのノウハウ、旧松下が蓄積していた回路および半導体技術を総動員させたもので、それが当時、テクニクスお得意の金属ホディ(これはアルミダイギャスト製)による直線の利いた無駄のない洗礼された機械美を感じるデザインに封じ込められているところがさらに魅力をかきたてるもので、その存在感は今見ても決して古さを感じないものです。
この品はワン・オーナー品で、機材整理の為に輩出されているもので、カートリッジとシェルは付属せず、価格的にもオークションに出回るものより少し割高ですが、動作は完璧、アクリルカバーも傷が殆どないという貴重な超美品となっています。
本来備え付けるべきMM型カートリッジはEPS-270SD(丸針)、EPS-270ED(楕円針)となっていますが、好みのカートリッジをつけたいという場合は、5g~11gが適用重量になっています。尚、互換性のある270Cはまだ売られている筈です。
ちなみに、フルオートとはいえ、初期モデルですので、機能はオートプレイ、オートリターン、リピートに限られますのでご了承を。
プレーヤーの総サイズは幅453×高さ125×奥行369mmで、重さ9.3kgです。