
度々メディアにも登場される有名エコノミストのであるリチャード・クー氏、エコノミストであると同時に模型愛好者であり、これは氏が30年に渡って製作、そして撮影された作品の数々を収めた写真集です。
テーマは、第二次大戦時のドイツ機。
当時のドイツ航空技術は、第二次大戦中から、とりわけ戦後からは資料が勝戦国に没収されて活用されたことから、現在に至るまで世界の航空技術界に影響を与えていることは広く知られていることながら、悪名高きナチスの存在もあって些か公言するに憚れる雰囲気が濃厚でした。
しかし、技術には罪はありません。常に罪があるのは、それを使う人間にあります。
この276枚の写真は全て実写、つまり、模型はもちろんですが、背景もCG合成写真ではないという、こだわりよう。
人間が作り出した、一番、罪つくりでありながら、人の幸せに役立たてられる道具であるお金の専門家らしいクールな精神が作り出すリアルさというのは、充分な研究を経てのものだけに精緻さは生々しく、かつ想像力を引き立てさせるものです。
※ リチャード・クー、1954年神戸市生まれ。’76年カリフォルニア大学バークレー校卒業。ワシントン連邦準備制度理事会(FRB)ドクター・フェローを経て、’81年ジョンスホプキンス大学大学院経済学博士課程終了。野村総合研究所研究創発センター主席研究員、チーフエコノミストとして手腕を振るう傍ら、各国政府や国際機関に政策提言を行っている。大の模型愛好家でもあり、2010年静岡ホビーショーでは「幻のドイツ空軍」写真展を開催。