
名機4-2000と似た設計ながらセパレートアンプタイプだけに充実したパワーを備えていた、1987年製のヤマハのパワーアンプのレストア品です。
基本的なところでのB-2Xについては、発表当時の1983年としては意欲的かつ先進的なDual amp ClassA with Zero distortion ruleという全域を純A級200W+200Wの大出力を具現するための回路方式が採用されており、実質は純A級アンプとAB級アンプをコンビネーションになるものの、負荷をしてA級アンプとAB級アンプの各々の出力と接続、かつNFBを負荷両端からA級アンプにかけることにより負荷電流をコントロール、AB級アンプに電力損失だけを受け持たせることで、その特性において全出力帯域をA級動作させる手の凝った方式が用いられていました。
これは従来のバイアス電流をコントロールする疑似A級方式や、出力によってA級動作とAB級動作を切り換える方式とも異なっており、そこにきてヤマハの Zero distortion rule(歪みゼロ法則)方式は歪み検出回路がブリッジ接続してリアルタイムで検出した歪み成分を入力電圧に同じレベルで同相で加えることで様々な歪みを解消しようとしていたものでしたので、パワーアンプとしての大きな電源の余裕も伴って、一般にはオーソドックスとはいわれていたものの、歪み感が少ないだけでなく、繊細な音質にも対応しながら腰の強さを感じさせる音を作り出してくれるものとなっていました。
この品は、そんな品をショップオーナーが後10年は使えるように完全メンテナンスを施したもので、電源部の音の要となる大容量コンデンサはともかく、その他の電解コンデンサは全て交換、カーボン抵抗および足の劣化したトランジスタ全てにリレーも交換、ハンダ盛りをして全ヶ所実施、シリコングリスも塗り替えた後に、DCバランス、アイドリングAおよびアイドリングABを調整、しっかりと1Khzの波形を確認して歪みが無いことから、12時間以上の視聴により本来的な性能が発揮できていることを確認したものになっています。
果たして中古品としてみれば決して安価ではないものの、当時の販売価格と比べれば破格、何より程度の悪いものでも非常な希少品となっている現状にあっては、往時に憧れていたものの手が出ず惜しい思いをした方には一考の価値が充分にある、ショップオーナーの自信作ともなっています。
サイズは幅435×奥行422×高さ165㎜で、重さは26kgのパワーアンプとして堂々としたものです。